アメリカ広葉樹家具デザインセミナーを静岡・旭川で初開催 2012/11/6〜7


静岡会場
2012年11月6日(火)静岡県インテリアコーディネーター協会の後援によりホテルアソシア静岡(静岡市内)、11月8日(木)には旭川家具工業協同組合と北海道広葉樹協議会の後援により旭川グランドホテル(旭川市内)にて「アメリカ広葉樹家具デザインセミナー」を開催しました。


旭川会場

静岡会場では定員50名に対して68名、旭川会場では定員100名に対して109名もの方々に参加していただき大変盛況な活気溢れるセミナーとなりました。

今回が家具デザインに焦点を当てた初めてのセミナーで、講師としてアメリカ広葉樹輸出協会前会長John Brown氏と米国のNew Hampshire Furniture Masters Associationに所属されている家具職人のGarret Hack氏を講師に招聘しました。


John Brown氏

Garret Hack氏

Brown氏からはアメリカ広葉樹の森林管理や現在米国で調査・研究が進められているライフサイクル・アセスメント(LCA)などの環境について詳しく説明が有り、その後 Hack氏からは米国での過去100年にわた家具の歴史から今日の家具製作に至るまでの話を130枚ものスライドを使用しての説明が有りました。


John Brown氏のプレゼンテーション

彼の説明では家具の歴史を知ることにより家具のデザインや構造そして細部についてなど多くのことを学ぶことができるとのこと。

かつて、家具は富の象徴であり米国では英国様式の家具がほとんどで、その後1700年代後半から米国の家具は過去の歴史や職人組合などの制約を受けずに刷新的な手法を取り入れながら、本当のアメリカン・スタイルの家具が製作され1800年頃からは産業革命で低価格・低品質のいわゆる大量生産の家具が製作されました。


Garret Hack氏のプレゼンテーション

また現代のシンプルな家具デザインに影響を持ち続けているシェーカー教の家具も製作された一方で、フランクロイド・ライトやグリーン・ブラザーズなどの有名な建築家が建築とともに家具デザイナーとしても活躍しました。

そして1890年から1930年に英国で起きたアーツ・アンド・クラフツ運動(美術工芸運動)のような機械を使わず手作業により家具を製作する動きや、欧州での世界大戦による混乱に伴い多くの才能あるデザイナーが移民として米国に移住してモダニズムの発展に寄与し、また曲木や機械の技術向上などにより金属や合板など他の素材を用いた家具製作など、米国の家具の歴史は大変面白く時代や人によって影響を受け、また発展している様子が紹介されました。

参加者は熱心にメモを取るなど2時間半におよぶ二つの講演はあっという間に終わってしまいました。さらに、旭川では敢えてセミナーの開催時間を夕方の午後4時半からに設定し、普段あまり参加いただけない若い家具職人の方々に多く足を運んでいただきました。

セミナー後のレセプションでも若い方々が長年の家具製作者や製材会社の方々から家具や木材についての話を聞かれたり、Hack氏に質問する姿がとても印象的でした。